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学園物えっち短編集
第20章 桜舞い散る中の君
俺はスマホを出して、去年撮った北海道で撮った桜の写真を探した。
「あった…これ、去年の写真なんですけど」
「わ…すごい綺麗…」
去年撮った桜の写メを見せると、桜さんはスマホを持っている俺の手を掴んで食い入るようにして桜の画像を見ていた。
自分の手から伝わる桜さんの細くて少しひんやりした指の感触に心臓がうるさくなる。
そして桜さんが興味を示してくれて、なんだか喜びを感じてしまった…。
「…友達いた方が楽しくないですか?」
「うん、楽しい」
「そうですよね!?…でも、友達いらないですか?」
「…いらない。」
「特に、吉野君とは友達になりたくない」
「まじかよ…俺、そんなに嫌われるような事しました?」
桜さんは首を横に振った。
「吉野君とは出会いたくなかった。吉野君と出会うって分かってたら私あんなところでうたた寝なんかしてないですぐに家に帰ってたのに」
「ちょ…それはいくら何でも言い過ぎ……?」
桜さんを見ると、何故か涙をポロポロと流していた。
「何でまた泣いてるんですか!?桜の事も俺も仕方ないじゃないですか…そんな泣かれても…俺どうしようも出来ないですよ?あー…じゃあ、俺帰った方がいいですよね。帰ります」
立ち上がろうとすると、桜さんはスマホごと掴んでいた俺の手を引いてそれを阻止する。
「もう!何なんですか!?」
「…吉野君に出会わなかったら、もっと一緒にいたいとか…ヒグッ…もっと話したいとか…そういうの思わなかったのに…」
本当…桜さんには振り回される気しかしない。
でも、やっぱり…桜さんと初めて出会った日。完全に一目惚れしてたんだな。
そして不思議な事に今もその気持ちは冷めていない。
桜さんに振り回されるなら本望だ。