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不条理な世界に、今日も私はため息をつく
第2章 コンビニはどこですか
 そんなあたしを宙にて受け止めたのが、両足の間に割り込まれた男の膝だった。手で腕を支えられているとはいえ、器用にもそこにぽすんと座ってしまった途端、男の口が離れた。

 口端に銀の糸を繋ぎながら、濡れた舌で唇を舐める様は異様に艶めかしい。あたしはぼんやりと思った。


 肉食だ、この男……。


「潤って満足したか?」



 わかっていて言っている。

 中途半端に突き放された体には、燻った熱が灯っていることに。


「どうした……? 潤ったのは、喉だけではないようだな。俺の膝も大分濡れているようだが」


 あたしの秘部を刺激するように、小刻みに前後して動く男の膝。

 これはわざとだ。


「ふっ……。滑りやすいな」

「やっ、そ、そこ…っうぁっ!」


 それに思わず声を上げてしまったあたしは、薄く笑う男に気づいて、羞恥心にて気を取り戻して、歯を食いしばって快感に耐える。


 なんでこんなことに悶えるの。

 なんでそんなに感じるの。

 しかもタンポンとはいえ生理中なのに、なんでもっとなんて淫乱なことを思ってしまうの。

 
 なにしているのよ、あたしっ!


 
 悔しい、悔しい、悔しいっ!

 翻弄されているのが悔しいっ!


 ただその悔しさに、あたしは目に涙を浮かべて、屈辱に打ち震えた。


「このクソ男……」



 そして。理性を総動員して、あたしは男を突き飛ばし……腰砕けの状態で尻餅をついたまま、二の足だけを動かして後退する。


 女であることが悔しくてたまらない。

 したいようにされている自分が恥ずかしくて仕方が無い。


 男は超然とした笑みを浮かべてあたしに近づいてくる。


 あたしは、捕食者の餌になどされるものか。

 

 そしてあたしは――

背後が行き止まりになって、逃げ切れない状況に追い詰められている現実を知る。
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