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不条理な世界に、今日も私はため息をつく
第2章 コンビニはどこですか

 目の前に放られたのは、男の耳飾り。

 それを前にして茫然自失のあたしは、ぽつん……。



 さて問題です。


 あたしはなにに怒ればいいでしょう。



 キスに腰砕けた自分に対してか。

 あたしを汚物まみれにして、滑走して行った駄ラクダにか。

 そんな状態のあたしを平然と放置して去っていった、最悪のイケメンか。


 …………。


 臭い……。



「いやあああああっ!!

お嫁に行けないっ!!!!」



 ……なんて自虐的な悲鳴なんでしょう。



 騒げば、茶色い手に堅いものが触れた。


 男のつけていた耳飾りだ。

 凄く高そうだ。
 


 叩き売りたいっ!!

 だけど買ってくれるところがないっ!!


「コンビニに行きたいのにっ!」



 昂奮の極みとあまりの臭さに、涙で滲んだ視界が白くなる。


 気を失いたいと切に願う。


 目覚めた時、きっとそれは夢であってよかったと思うはずだから。
 
 こんな不条理なことってあるはずはない。


 絶対神様は、あたしを見捨てるものかっ!




 薄れる景色の中で、聞いたような気がする。





「クルックゥ」



 馬鹿にしたような笑い声と、なにかの声に。




「うわ……なんだこれ。生きてはいるのか……。ん、この耳飾り……」



 新たなる場面に、強制移行することになることも知らずに――。


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