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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて

涙で潤んだ瞳で、陽輔をじっとみつめる華子。
その髪の毛は、先程の行為で更に乱れ、浴衣はその躯を包む着衣としては機能はしてはいない。
その肩からずり落ちたその浴衣を、陽輔はそっと華子の肩に掛かるように引き上げてやると、そのくしゃくしゃの髪を優しく撫でた。
「……嘘を、ね。
誰にも会ってないなんて、そんな嘘を口にしたのは、ようちゃんに変な心配させたくなかったからで。でも――」
つっかえながらも、ゆっくり話始めた華子が不意に言葉を詰まらせて。
すんっと鼻をすすり上げた後、小さく息を吐き出し、そして、そのまま一気にその続きを話し出す。
「でも…。そういうのって、ようちゃんの言う通り優しさなんかじゃないって思ったの。
ようちゃんに疑われてるってそう思った時、“違う”って思わず口にした言葉は、ようちゃんのためじゃなくて―――――――ようちゃんに疑われたくなかった自分のためだった。心配掛けたのは私で、悪いのは私なのに」

