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あたかも普通の恋愛小説
第12章 奈落、注意報
井藤くんは辺りをチラチラ睨みつけてから私の肩に手を回して耳元で内緒話をする。
「巷にけっこういるんだよ」
「なにが?」
「同性愛者っつーの?だから、俺がそうだと勘違いされると非常に迷惑」
あぁ。イケメンさんだから、同性愛者の男のひとにもモテるんだ。それはご愁傷様でした。
「つーか。小鳥ちゃんにそう思われるとか納得いかねんだけど」
「なんで?」
「俺、小鳥ちゃんには優しいでしょ。ちゃんと」
赤くなってジンジンしている私のオデコの前髪を避けて、井藤くんは軽く指で擦ってからそこにキスをした。手慣れている。女子の扱いを心得すぎ。キザ。
「でももしかするとカモフラー――」
ホモである事実を隠蔽するためのカモフラージュということもありうるでしょ、と言おうとしたら今度は頭突き!頭割れちゃう!脳みそズレちゃうぅ!