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あたかも普通の恋愛小説
第13章 雨と仔猫と段ボール


ふわふわとくすぐる指がたまらなく愛しい。


「郎太のえっち」

「小鳥にだけだよ」


いつもどおりの落ち着いた表情をしているけれど、見つめる眼差しはどこか熱っぽい。こんなふうに真剣に想ってもらえて幸せ。私はそっと郎太の顔に触れた。

今までにだって色んな誉め言葉は聞いた気がするけれど、その場限りの耳障りのいい嘘ばっかり。好きとか可愛いとか、大して深い意味なんかなかった。だけど郎太の言葉はどうしてかな。すごくすごく大切に思うんだ。泣きたくなるほど愛しくて、私もって思うんだ。


「やっぱり、夜までまてない」


キスをされて流されそうになる、相変わらずの私の悪い癖。だけど郎太になら流されたっていいんじゃないかって気さえするの。私からもキスをして、お互い満足するまで繰り返す。貪欲な体はすぐ火照る。郎太が欲しくて子宮が疼いたとき、ドロリとした感触がして我に返る。


「あ。今日は駄目なんだった。夜は私がしてあげるから我慢してね」

「?」

「生理だからできないの」


次々に溢れだす血の塊を感じながら体勢をなおすと、郎太が労るように体を支えてくれた。


「そうなんだ。生理のときって具合とか悪くないの?大丈夫?」

「時々貧血かな。私、生理痛は軽いほうだから大丈夫」


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