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あたかも普通の恋愛小説
第13章 雨と仔猫と段ボール
郎太はちょうど髪を洗っている最中だったからチャンスとばかりにシャワーを借りて血を流した。足元はすぐに赤い経血混じりの水溜まりになり、それは郎太の足元へも広がっていく。ひとまず臭いの心配はこれで何とかなりそう。
「頭すすいで」
泡まみれの郎太の髪を手櫛でときながら泡を流すと何だか床屋さんごっこの気分。
「かゆいところはないですか?」
足元の赤が白い泡と合わさって排水溝へと流れていく。
「かゆくはないけど目に石鹸入った」
慌てて水で流す。ぱっちりと目をあけた郎太はそこではじめて見たらしくちょっと息を飲んだ。
「すごい……ほんとに血がでてる」
濡れた太ももを伝って垂れているそれを目の当たりに驚いているみたいだった。
「ごめんね、二日目だから一番多くて」
ぽたぽたと止まらない血は隠しようもない。