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あたかも普通の恋愛小説
第14章 一分一秒
郎太が好きで、こんな幸せがずっと続けばって思っていた。
いつもはしないのに、郎太が私の肩に歯をたてて噛み付いた痛み。
悲鳴をあげそうになって、歯を食い縛る。よくわからないけれど今郎太と私の関係は壊れそうな危ういところにあって。郎太を責めたり拒絶したり嫌がったり怯えたりしたら、それこそ全部失うような気がした。
一秒が長いのは苦痛や不安がそうさせるのか、郎太の気が済むまで私はただ耐えた。
郎太は私を気持ちよくさせる愛撫なんかはしなくって、悪意や苛立ちみたいな何かをぶつけるように乱暴だった。
雨にあたってきたからすっかり体温が下がっている郎太の体を、どう温めればいいのかわからなくて抱きしめられない自分がもどかしい。
「きらいにならないで……」
無意識に呟いていた。