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あたかも普通の恋愛小説
第14章 一分一秒


ほとんど無意識すぎて、それが自分の声だとも最初は思わなかった。か細く震えて聞いたこともない声だった。

郎太は動きを止めて、それはまるで時が凍りついてしまったみたく、再び動き出すには若干の時間を要する。


「……小鳥が俺を嫌いになるんじゃないの?」


返ってきたのはそんな言葉。


「どうして…?」


意味がわからずにただただ涙ぐむ。


郎太はわずかに体を起こして私を覗き込んだ。さっきまでとは違う目で不安そうにこっちを見てる。


「だって……だってさ、俺は研究室にこもってばかりであんまり一緒にもいれないし」

「何で急にそんな?」


私、そんなことで不満をぶつけたことなんか一度もない。一緒にいられる時間にいっぱい愛してくれるから、不満なんてない。


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