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あたかも普通の恋愛小説
第3章 にゃんにゃん禁止令
いつの間にか抱きしめられていて耳元で囁かれて。腰に回してた手はおしりへと伸びて。お互いの胸に挟まれていた手を離して顎を持ち上げられる。
「ちゃんと送っていってあげるから」
下唇を指で触れられて微かに開いたとき、深いキスをされてしまった。酔っているからか気持ちいい。色んなことがどうでもいいような気がして強く拒む意味がわからない。
あのひとがせっかく守ってくれた七人目。このひとがあっさり奪っていっちゃうのかも。
他の部屋から誰か出てきたのか、開いた扉から少しの間大きな音が漏れた。キスをやめて彼の腕が緩んだ時、その向こうに見覚えのある顔。
「……あ、」
思わず声が出ちゃった私の横を、でもそのひとは素通り。私のことなんて覚えてないのか、服装が違いすぎて気付かないのか。あるいはキスを見てしまったから気まずい…とか。
そのまま立ち去ってしまう。この前みたいに助けてはくれない。
そうだよね、ナンパ男が無理矢理私を拐おうとしていた時とは違う。私ってば抵抗すらしてない。
彼は、私がやっぱりビッチかと思って幻滅したかしら。それとも、私のことなんか気にもならないかな。