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あたかも普通の恋愛小説
第3章 にゃんにゃん禁止令
どうして私、彼の部屋にお邪魔してるんだろう。まったく繋がらない。とはいえお泊まりしてしまったということはもしかして?
もじもじと言葉を探していたら髪を拭き直した彼がボソッと言った。
「言っとくけど、何もしてないから」
「あ、はい。ありがとうございます」
嬉しいような悲しいような複雑な気持ちでとっさにした返事は何かおかしい。
「友達に禁止されてて」
「禁止?何の?」
「あ、いえ、あの」
どうしよう。私、今、何かテンパってるみたい。
「でもキスはされたかな」
「えええ!?ご、ごめんなさっ」
顔から湯気が出そうなほど。かぁっと熱くなる。
何やってるの私!え、私から彼にキスをしちゃったってことなの!?ていうか何で覚えてないの。
と、一人で慌てていたら腕に一センチ角の白い絆創膏がペタリとくっついているのに気付いた。何これ。
思わずはがしたら赤い点。これは注射のあと?
首を傾げる私に彼はベッドに腰をおろし声のトーンを落とす。軋んで揺れるベッドの上で私は呆然と聞いていた。
「カラオケボックス行ったのは覚えてる?酔い方が尋常じゃなかったから夜間病院に連れていったんだけど」
確かにカラオケには行った。パーティーに来てたひとたちと一緒に。お酒も確かに飲んでたと思う。
「お酒に薬を盛られてたみたいだよ」
告げられた言葉がどこか遠い国の言葉みたいに右から左に抜けて理解出来ない。
「――ぇ……」