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あたかも普通の恋愛小説
第18章 第二回
欲求不満というのかしら。イケずに終わったせいで何だかモヤモヤ。出来ることなら朗太に今すぐメチャメチャに抱いてほしいわけなんだけど。がまん。
モヤモヤをうやむやにして私は大嶌様とアポイントをとる。飲みに行こうと前回誘われていたとおり、大嶌様の行きつけのお店で会うことになった。…これも仕事?
「もうサンプルが上がったの?早いわねえ」
上機嫌の大嶌様とあれこれ雑談をしながら、商品の話や恋話や思い出話なんかを聞くうちにほろ酔い。お酒は控え目に飲んでるつもりなのについつい美味しい。
大嶌様のお喋りが楽しいのでうっかり相手がお客様だということを忘れそうになる。
「色んな男を見ては来たけど、最終的に一番かわいいのは年下の男の子だわね」
大嶌様が言うには、うんと年下の男子らしいです。かわいいという意味はわからないけれど、一生懸命になってくれるらしい。
「大嶌様はお綺麗だからー」
そりゃあ男子も一生懸命尽くしてくれるのかも。
「例えば、よ。小鳥ちゃんの付き合った男の子がマザコンだったりしたらどう?」
「マザコン……」
私は朗太を思い描いてから、まだ見ぬ朗太のお母さんも想像してみた。
「マザコンの男の子が私をお母さんだと勘違いしてる、みたいな関係よ。私の場合は」
「それはもう熱烈ですね」
お母さんって誰にとっても影響力が強い存在だと思うの。
大事にしていても、たとえ仲違いしていても。お母さんは一人しかいなくてやっぱり特別だと思う。願いが叶わなくて他の誰かに代わりを求める場合は、さらに特別な強い想いがあるんだろうし。
「彼がマザコンだったら、かぁ。……それはそれで仕方ないかなぁ」
母親には敵わない。母親にはなれない。少なくとも私では小娘すぎてまだまだ無理。
他の誰かがマザコンだったら多分引くと思うのだけれど。郎太が私を好きでいてくれるのを感じられるから。マザコンでも別にいいかなって思える。
郎太がもしマザコンでも。お母さんのことも私のこともきっと大事にしてくれそう。お母さんか私かっていうときは私が一歩ひけばいいだけのこと。