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あたかも普通の恋愛小説
第6章 駆け引き、誤算、泡沫の恋
でも、仕事のストレスを忘れるためにエッチするのって確かにあると思うんだ。本社の上司の言葉にどこか納得する自分もいた。私だって、学生時代より今のほうがエッチ頻度が上がってる。誰でも良かったのかも。だから余計に男のひとに付け入られたのかな。
満員電車に揺られてぼんやり。反省?まぁ反省かな。どうすればいいかわからないけど。
とりあえず仕事頑張ってみよう。じゃないとまた研修と不倫未満の不道徳なえっちがついてくる。
私だけじゃない、相手も悪い。だけど付け入る隙を見せてる私も悪い。うー。
そんなこと考えてから、ふと目の前の男のひとを見ると少しだけ真壁さんに似たイメージのひとだった。サラサラの黒髪。見上げる長身。
真壁さんってどんなひとなんだろ。私みたいな女の子に興味はないんだろうな。どうしたら自然に親しくなれるかな。
揺れる電車、混雑に押されて否応なしに密着する。このひとが真壁さんだったらいいのにな。
「ぁっ」
突然。後ろからお尻を撫で回された。痴漢だ。私の声に目の前の彼は気付いたみたいだったけど、目をそらして知らんぷり。やっぱりな、普通はそうだよね、巻き込まれたくない。
でも。きっと真壁さんだったら助けてくれたと思うんだ。目の前で誰かが困っていたら。躊躇なくスッと涼しい顔で割り込んで。
残念ながらここに真壁さんはいない。自分の手でこれ以上お尻を触られないようにガードしたら、何と今度はその手に股間を押し付けられた。信じられない。
私って、そんなに都合のいい女に見える?