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あたかも普通の恋愛小説
第6章 駆け引き、誤算、泡沫の恋
「一緒にいた男追いかけたんだけど逃げ足早くてさぁ、」
井藤くんがそうボヤくのでまた目にじわぁっと涙がたまった。
二人がとっさに痴漢を捕まえようとしてくれたことに安心した。
「わざわざ。ありがとうございます…」
「一応被害届みたいなのだす?」
「いえ…そこまでは」
どうせどこの誰かもわからないし。そう思ってうつむいた時私は思わず小さく叫んでしまった。
「いっ……!」
「どうしたの?」
弄られた乳首が痛い。もしかしたら切れて傷になってるのかも。痛みをこらえて顔を歪めるだけの私に真壁さんの視線が刺さる。
(乳首が痛いなんて、言えない)
「な、なんでも、ないです…」
「どこか痛む?」