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あたかも普通の恋愛小説
第6章 駆け引き、誤算、泡沫の恋
本当に軟膏塗らないとだめかも。やだ、それはそれで痛そう。乳首に軟膏なんか塗ったこともないし。真壁さんの指で塗ってもらえたら痛くはないかも……って何を考えてるのよ私は。だいたい恥ずかしいし!ないない!
「……あいつ、別に軽くなんかないよ」
「へ?あ、井藤くんですか?」
痛むやら疼いてるやらの乳首を意識から追い出し私は真壁さんを見た。あ、やっぱ痛いかも。
「昔はけっこう荒れてたけど。今は軽くない。多分本気で付き合ってみたいと思ったから言ったんだと思う」
「え」
意外な井藤くん情報と、それを真壁さんからもたらされたという複雑な気分。
「井藤はいい男だと思う。付き合って損はないよ」
「私。私は……」
真壁さんが気になるんです。でも、あぁきっと。そうだよね。こんな会う度男に絡まれてるようなふしだら女なんて、迷惑ですよね。
だからきっと、デートに誘ってもスケジュールあけてもらえないんですよね。
「え。なんで泣きそう…?」
「い、痛くて」
慌てて目尻を拭って自分の胸を抱きしめた。傷も痛いけど心も痛い。あれ…さっき井藤くん、なんて言っていたかな。