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あたかも普通の恋愛小説
第9章 鳥籠アイアンメイデン


帰り際、また高多さんに声をかけられたけどうまくかわして私は一人でオフィスを出た。やれば出来るじゃないとちょっと自分を見直す。今までと何が違うのか自分ではよくわかんないけど、何かうまくいく気がする。


「…と、井藤くん?」

「や。お疲れさま」


何故かオフィス前の路上に車を停めた井藤くん。


「井藤くんってストーカー的な何かじゃないよね?」


思わずぽろり。だってあまりにドンピシャでそこにいるとかおかしいもん。


「あはは。陰湿じゃないけどストーカーかも」

「いやいや。あははじゃなくて」


明るく笑えばいいってもんじゃないのよ?

不審がる私を見てさらに井藤くんはニコニコと笑顔を見せた。


「とりあえずどうぞ。お迎えにあがりましたよ、姫」


シンデレラはよく突然現れた見ず知らずの魔法使いの馬車に乗れたわね、とか思う。見ず知らずじゃなくても現代なら警戒するでしょ。


「どこの舞踏会会場へ拉致ってくれるの?」

「王子様がお待ちかねだよ」


うーん。魅惑的。


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