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あたかも普通の恋愛小説
第9章 鳥籠アイアンメイデン


しばらく黙ってしまった井藤くん。気を悪くしたかしら。でも表情からはそんなふうにも見えない。

それで私も何となく黙っていたら、やがて井藤くんは沈黙を破って話し始めた。


「昔からさー。なんか女って嫌いで」


遊びなれたイメージの井藤くんからはまるで真逆。


「だから彼女できたとか浮かれてるダチとか見ると無性にムカついて」


でもきっと。真逆に見えるだけで、それは見方の問題。


「ちょっと誘えば女なんてすぐなびく。簡単に裏切る。それが現実じゃん?彼氏がいるとか、ぶってても結局、あいつら簡単に俺と寝るじゃん。みたいな」

「えーっと……」


私に。どんなリアクションを求めているのかなぞ。私は女同士の友達が、彼氏の友達に誘われたときなんてわからない。


「井藤くんが彼氏よりカッコよかったからじゃない?」

「それを振るのが最高に楽しいと思ってた」

「……うん。悪い噂通り」


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