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あたかも普通の恋愛小説
第9章 鳥籠アイアンメイデン
井藤くんはニヤリと笑ってちょっとこっちを見た。運転中はちゃんと前を見ててください。
「小鳥ちゃんさ。俺のえっちどうだった?」
ぶ。思わず苦笑い。いきなりなんてこと聞くのかしら、直球で。
「さ、最後までしてないしっ」
結果的事実として身の潔白を主張すると、井藤くんはさらに際どいトーク。
「最後までしてみたかった?何ならしてみる?」
「うぇあ。いえ、ケッコウデス」
どもる私に井藤くんは笑って、話をもとに戻した。
「自慢じゃないけどえっちは上手いほうなんだよね。っていうか女の子をちゃんとイカせてあげるのが?」
私も経験者なのでもう何も言えない。井藤くんのテクニックに異論などなし。
「だから二度目は女のほうから誘ってくる」
「軽蔑するくらいならやめればいいのに」
普通はモテたら嬉しいだろうに、井藤くんはそうじゃなさそう。…私もモテても嬉しくはなかったからひとのこと言えないか。
何となく納得しちゃった。私も結局男のひとを心のどこかで軽蔑してただろうし。誘ってないけど。
「真壁もそんなだった。だからやめたんだよ」
「じゃあもう無駄に彼女にちょっかいかけないのね」
満足。笑顔で納得する私に、井藤くんはでも失笑。