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大地の恋
第2章 若葉の頃
「家族の仲いいの?」


「悪くはないと思います」


「まぁ家も悪くない方だけどさ」


高校一年の太陽は俺が帰ってきてからも「兄ちゃん兄ちゃん」とウザがることなく慕ってくれている。


親父とお袋は喧嘩しながらも何だかんだ仲も良く、真ん中の二人も帰ってくれば何かと話す。



「……板橋さんって彼女いないんですか?」


ふいに橋本さんが俺に振った。


「いないよ」


「モテそうだからすぐできそうなのに」


「でも誰でもいいって訳じゃねーだろ」


「真面目なんですね」


「……全然だよ。俺、最低だから」


「………」



これ以上触れられたくなくて目を閉じた。
橋本さんはそれから何を聞くわけでもなく隣にいた。



俺はどこまでも未練がましくて最低な男だと思う。



そうやって常に自分を責めここから一歩も動けなくしているのは何者でもなく自分自身なんだけど…


あの頃の俺は自分を卑下することだけが唯一の真優への謝罪で、真優を想い続けることが彼女に対する誠意だと…どこかで思っていた気がする。








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