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大地の恋
第4章 再会
それでも一瞬にしてあの頃に戻れる存在は大人になるにつれ貴重だと思う。


大友然り、……真優も然り。










大友が帰ると部屋は急に静かになった。


「また来いって言ってましたね」


「来ねーよ」


「本当?」


「嘘、また来ような」


笑顔で頷く千花ちゃんを散歩に誘い、酔い冷ましを兼ね少しだけ二人で外に出る。





「寒くない?」


「うん、平気」



そっと手を握ると千花ちゃんは嬉しそうにはにかんだ。
この笑顔に癒されながら、同時に夜に迷いが生まれる。




俺は……千花ちゃんを抱くのが少し怖い。
俺が抱いたら千花ちゃんを汚してしまいそうな気がして…


ならやめればいいのにもっと深く繋がりたいとも思っている。



そんな自分を不甲斐なく思っていた。






「…月が綺麗だな」



そんな気持ちを誤魔化すように口を開いた。



「本当だ。ウサギが見えますね」


「見えねぇ…」


「見えますよ。見えない人は心が綺麗じゃないんですよー」


冗談めかした言葉と共に千花ちゃんが前に出て振り向いた。
月を背負った千花ちゃんが俺を見上げ微笑んでいる。



柔らかな月明かりは千花ちゃんによく似合っていた。


優しく全てを包むような輝き、闇に溶ける輪郭。
儚く美しい笑顔に湧き上がった感情は、理屈抜きの「欲情」だった。


「…確かに綺麗な心じゃないかもな」


「………」



「千花ちゃん、俺…今夜千花ちゃんを抱くよ」



自分で言っておきながらもっと気の利いた言い回しはなかったのかと思う。


千花ちゃんは少し困った顔をしてひとつ頷いた。


「いいの?」


「いいもなにも…嫌なら旅行なんて来ませんから」



銀の光を浴びる千花ちゃんからは決心のような強さが感じられた。


言葉としては素っ気ないけど、健気なほどの愛情を俺に向けられていることに気づいたらたまらない気持ちになった。



それから二人で月を見て…部屋に戻る。






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