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Deep Emotion
第4章 キス



「じゃ、いってきます」

「いってらっしゃい」

門倉家に住み込んで数日、大体の生活リズムがわかってきた。

朝8時。門倉さんが家を出る。

大体この時間に家を出ているが、たまに早朝会議で朝5時半に出なくちゃいけない時もあるらしい。

陽くんは大体門倉さんが家を出るのと同時に起きてくる。

大学に行く時間はまちまちだから、お昼近くまでゆっくりしている時もある。

ただ、2人とも帰る時間については毎日バラバラで、この前みたいに3人揃って食事をすることは滅多になかった。

門倉さんは最近忙しいのか、帰りが深夜になることが多い。

私は陽くんと夕食を食べた後、片付けをしたり夕方取り込んでいた洗濯物を畳んだりして門倉さんを待つ日が続いた。



「ただいま…」

日付が変わってから一時間が経った頃、門倉さんが帰ってきた。

「お帰りなさい。お食事は」

「ん、今日は食べてきたからいい…。シャワー浴びてくる」

疲労の色が隠せない表情で、門倉さんは浴室に向かった。

この一週間、門倉さんは朝8時に家を出て日付が変わって少しした頃に帰ってくる生活が続いている。

清掃のバイト中に、たまに姿を見かけるけど、仕事中は疲れが溜まっているようには見えなかった。

家に帰るとあんなにふらふらしているなんて。

「はー」

15分ほどで浴室から出てきた門倉さんは、冷蔵庫から缶ビールを出し、リビングのソファに座った。

「お疲れさまです」

「うん…」

本当に疲れているみたいだ。お酒を飲むより、早く寝た方がいいんじゃないだろうか。

「もうお休みになってはいかがですか?明日も早いですし」

「……そうだね、そうする」

門倉さんは未開封の缶ビールを冷蔵庫に戻し、自室へ戻ろうとした。

「…っ」

「あぶな…っ」

足元がふらついた門倉さんを、私は手を伸ばして受け止めようとしたけど、支えきれずに2人して床に倒れてしまった。

門倉さんの体が私の上にのしかかる。

「っごめん!…あ…」

体を離そうとした刹那、目が合って、そのまま、熱を帯びた門倉さんの目が私を捕らえた。

心臓が、急に早鐘を打ち始める。

目を逸らしたいのに、なぜだか私は逸らせずにいた。

だんだんと顔が近づいて、気づいた時には唇が重なっていた。

「ん…っ」

重なり合った唇から、全身に熱が広がっていく。
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