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第14章 【夢から醒めるとき】
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「―やけにすっきりしたような顔をしてるね。沈んでいるんじゃないかと気を揉んでいたんだけれど」

8月の終わり。
休日に孝介に誘われた。
久々のお出掛けに、私は藤色のワンピース、ワインレッドのパンプスを選んだ。
香水をひと吹きした。

“みーちゃんが行きたい場所にどこへでも連れていってあげる”
という言葉に甘え、リクエストしたのは動物園。
ひとしきり動物を冷やかし、観覧車に乗った。

『暗くなることに飽きたの。
考えてみれば何年も閉じ籠っていたような毎日だったから。
寝たふりをしてやり過ごすのはもう止めようかと思って』

見慣れた景色が、ジオラマのように小さく見える。
スーパーや、私のアパートを探す。
くるくる回る観覧車。

「‥何だか寂しい。
ずっとうじうじフラフラしていればいいのに。何かを決意したような顔をしていてツマンナイ。
せっかくのデートなのに甘えてもくれないの?」

七分袖の白いシャツに深いインディゴのジーンズ。茶系の千鳥格子のハット。焦げ茶色のショートブーツ。
孝介はすっかり秋の装いだ。
あと数日で9月が始まる。
夏は―終わった。

『‥甘えてるよ。だって孝ちゃん、今まで私に優しくしてくれてたでしょ?』

孝介に微笑みかける。
気まずそうに、色素の薄い瞳が窓の外へと向けられた。

私と爽介が接近することを牽制し、私を引き戻そうとしてくれていた孝介。
爽介の過去を私に告げることは簡単だったはずなのに、敢えて憎まれ役で居続けた孝介。
本当は、私のことをずっと案じてくれていた孝介。

『‥孝ちゃんが言うように、私、孝ちゃんのことちっとも知らなかったよ。孝ちゃんが大人になってるってこと、全然わかっていなかった』

「みーちゃんは本当に、昔から爽ちゃんしか見ていなかったらね。
後悔してる?
僕にしとけば良かったでしょ?」

孝介が目を細める。
何も答えずに、笑った。

「‥嫌だなぁ。最初で最後のデートの気配、ビンビンに感じさせないでよ。わかってるよ。みーちゃんは、僕のことは好きにならない。
だけど、少しくらい恋人ごっこに付き合ってくれてもいいでしょう?
今日だけは僕のために笑って」

孝介が唇を尖らせた。
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