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Re:again
第14章 【夢から醒めるとき】
「口の中がパッサパサ‥何か飲み物取ってよ」
小さな冷蔵庫まで走る私。
『あのね!ビール、ウーロン茶、オレンジジュース!』
「じゃあビール。コケシボーロちゃんも飲みなよ」
飲み物を抱いてベッドに走る。
『遠足みたいで楽しいね!お弁当作ってくれば良かったな』
寄生虫でも見るような目付きで私を観察する孝介。
ぐびぐびとビールを呑み始める。
「……この前、ハメを外しちゃったから反省してるわけ。
みーちゃん、爽ちゃんと付き合ってるわけでしょ?
兄貴の女を食っちゃっていいのかな~とかこっちは一応悩むわけ。お前はのんきに卵ボーロ食ってるけど…」
両手で顔を覆い、孝介が呻く。
喉の奥から変な音がする。兄弟だな。
『でも孝ちゃん、爽介の彼女つまみ食いしてたんでしょ?
“官能の舘”してたんでしょ?』
「あれは‥公認の上でなんだ。煽るんだよ、爽ちゃんが。
手を出すなって釘を刺されたのはふたりだけ…みーちゃんと、元奥さんだけだよ」
*****
「カレンっていうんだ。元奥さん。僕の同級生。別に、特別美人ではない。普通の女。
ただ、優しかったかな。笑顔が可愛かった。後は特筆すべきことはないくらい、地味な女」
『もしかして‥孝ちゃん、そのひとのこと好きだった‥?』
「‥‥バレちゃった?っていうより、僕の元彼女。都合がイイ女だったんだけど……」
孝介の瞳が沈む。
私が手を握ると、苦笑した。
「自業自得だよね。
自分が捨てたつもりでいたのに、爽ちゃんのモノになった途端、捨てられたのは僕の方だったんじゃないかって思ったよ。
心底驚いた。僕が爽ちゃんの女にちょっかいをかけることはあっても、その逆なんてなかったから。
お兄ちゃん、純情で潔癖症なトコロがあるんだ。
僕のコトは怒らないけど、僕に堕ちた女は容赦なく切り捨てる。
…ふたりがいつの間にそんな関係になってたのか、知らない。
ある日、爽ちゃんが家に帰ってきて“カレンと結婚するから、二度とお前は近付くな”って言われた。式も挙げずに、甥っ子にも一度も会わせてもらえなかった。
当然なんだけどね。
この夏、爽ちゃんが帰ってくるまでは絶縁に近い状態だった」
小さな冷蔵庫まで走る私。
『あのね!ビール、ウーロン茶、オレンジジュース!』
「じゃあビール。コケシボーロちゃんも飲みなよ」
飲み物を抱いてベッドに走る。
『遠足みたいで楽しいね!お弁当作ってくれば良かったな』
寄生虫でも見るような目付きで私を観察する孝介。
ぐびぐびとビールを呑み始める。
「……この前、ハメを外しちゃったから反省してるわけ。
みーちゃん、爽ちゃんと付き合ってるわけでしょ?
兄貴の女を食っちゃっていいのかな~とかこっちは一応悩むわけ。お前はのんきに卵ボーロ食ってるけど…」
両手で顔を覆い、孝介が呻く。
喉の奥から変な音がする。兄弟だな。
『でも孝ちゃん、爽介の彼女つまみ食いしてたんでしょ?
“官能の舘”してたんでしょ?』
「あれは‥公認の上でなんだ。煽るんだよ、爽ちゃんが。
手を出すなって釘を刺されたのはふたりだけ…みーちゃんと、元奥さんだけだよ」
*****
「カレンっていうんだ。元奥さん。僕の同級生。別に、特別美人ではない。普通の女。
ただ、優しかったかな。笑顔が可愛かった。後は特筆すべきことはないくらい、地味な女」
『もしかして‥孝ちゃん、そのひとのこと好きだった‥?』
「‥‥バレちゃった?っていうより、僕の元彼女。都合がイイ女だったんだけど……」
孝介の瞳が沈む。
私が手を握ると、苦笑した。
「自業自得だよね。
自分が捨てたつもりでいたのに、爽ちゃんのモノになった途端、捨てられたのは僕の方だったんじゃないかって思ったよ。
心底驚いた。僕が爽ちゃんの女にちょっかいをかけることはあっても、その逆なんてなかったから。
お兄ちゃん、純情で潔癖症なトコロがあるんだ。
僕のコトは怒らないけど、僕に堕ちた女は容赦なく切り捨てる。
…ふたりがいつの間にそんな関係になってたのか、知らない。
ある日、爽ちゃんが家に帰ってきて“カレンと結婚するから、二度とお前は近付くな”って言われた。式も挙げずに、甥っ子にも一度も会わせてもらえなかった。
当然なんだけどね。
この夏、爽ちゃんが帰ってくるまでは絶縁に近い状態だった」