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Re:again
第14章 【夢から醒めるとき】
毎晩、違う男と寝た。
たまに情を交わしそうになると、速攻で関係を切った。
また爽介のように、激しい想いに狂わされることはこりごりだった。
特定の人間に深入りすることが恐かった。

男たちの上で、はたまた下で、立ったままで、私の部屋で、外で……恥態の限りを尽くした。
ひとりでも、ふたりでも、更にもっと複数とも交わった。
私が拒んだことといえば汚いことと、同性とのまぐわりだけだ。
すべてがどうでも良かったし、どうなっても良かった。
ボロボロの身体になって、見知らぬ土地で朽ち果ててしまいたかった。
どうせ私には帰る場所も、帰りを待つひともいないのだ。

男たちの囁く“好き”という言葉に、私は何の抵抗もなく“好き”と返した。
私の魂は私の身体から離れ、頭上を旋回していた。
魂が抜けているのだから、どんなに安売りしても平気だ。
何の意味もない言葉の羅列なのだから、ごみ箱にごみを捨てることと同じだ。

『‥寂しかったんだと思う。
帰る家もない。家族もいない。夢も挫折して、空っぽだった。
‥幸せそうに微笑んでいるひとを見掛けると、無性に腹が立った。
私は寂しくて寂しくて死にそうなのに、不公平だと思った。
苛立ちを紛らわすために誰彼構わず寝た』

孝介の手のひらが私の髪の毛を撫でる。

『恋人のことを、好きかどうかなんてわからなかった。
‥考えないようにした。
優しすぎて優柔不断。セックスも別に上手じゃなかった。
派手な見た目とは違って、普通の男―馬鹿みたいな話だけれど、爽介に少しだけ似ていたの。笑顔が可愛かった―』

他の男と同様に、涼平もまた私の身体の上を滑ってゆくゼリーのようなモノだと認識していた。
…それなのに。
涼平が、他の男たちと違うと気付いたのはいつからだろう?

涼平の囁く“好き”が、ベッド上のリップサービスではないと知った時、私を見つめる眼差しが自分にも覚えのあるものだと気付いた時、戦慄を覚えた。
好意を抱かれているという予感―
甘く、胸の疼くような…。
途方に暮れた。
自分を愛してくれるひとが現れるなんて、夢にも思わなかった。

私は私のことをちっとも“好き”ではなかった。
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