この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Re:again
第14章 【夢から醒めるとき】
涼平は仕事が長続きしなかった。
不真面目なのではなく、ひとが良すぎて貧乏くじばかり引くのだ。
私と同じように他店のShop店員を勤めているかと思いきや、事務所の窃盗事件に巻き込まれて解雇。
コンビニの店員、警備員、ガードマン‥共に過ごした3年あまりの時間の中で、次々と仕事を変えた。
涼平が付き合う友達は、品が良くなかった。
利用されているのは明らかなのに、涼平は“イイ奴なんだよ”と笑う。
まったく、涼平の物差しで測ると、世界には《優しい人間》と、《イイ奴》しか存在しないらしい。
定職にはついていないけれども、涼平は他人に迷惑を掛けることもしなかった。
いつの間にか私の部屋に住み着き、ヒモ然としていてもお金はちゃんと入れてくれた。
育ての親である祖父母にもきちんと仕送りをしていた。
“親父もおふくろも、それぞれ別の相手と駆け落ちしたんだ”
涼平はケロッとした顔で言う。
“だけど寂しくない。ミチがいるから”
気の良い男だった。
私と違ったところがあるとすれば、そのまっすぐな気性と、祖父母が待つ実家があったことぐらいだろうか。
私も涼平も、あの眠らない街の片隅で同じようにひとりぼっちだった。
両親が涼平を捨てなければ、付き合う友達の種類が違えば、涼平の人生はもっと違ったものになったのだろうか。
涼平は置かれた立場を卑下することもなければ、他人に八つ当たりすることもしなかった。
ただ、ありのままを受け入れて生きていた。
私の趣味である読書を、涼平は邪魔しなかった。
“俺、頭悪いんだ。学がないから”
小さくため息をつく涼平が可愛いかった。
どんなに怪しげで物騒な本を読んでいても、
“ミチは偉いなぁ。そんなに字かたくさん書いてある本を読んで‥頭が良いんだな。”
と、しきりに感心していた。
私が読書をする傍らで、小さくなって漫画を読んでいた。
涼平のことを頭が悪いんだなんて思ったことはない。
少なくとも、他人に八つ当たりして僻んでばかりいる私よりも涼平は、まっとうだった。
不真面目なのではなく、ひとが良すぎて貧乏くじばかり引くのだ。
私と同じように他店のShop店員を勤めているかと思いきや、事務所の窃盗事件に巻き込まれて解雇。
コンビニの店員、警備員、ガードマン‥共に過ごした3年あまりの時間の中で、次々と仕事を変えた。
涼平が付き合う友達は、品が良くなかった。
利用されているのは明らかなのに、涼平は“イイ奴なんだよ”と笑う。
まったく、涼平の物差しで測ると、世界には《優しい人間》と、《イイ奴》しか存在しないらしい。
定職にはついていないけれども、涼平は他人に迷惑を掛けることもしなかった。
いつの間にか私の部屋に住み着き、ヒモ然としていてもお金はちゃんと入れてくれた。
育ての親である祖父母にもきちんと仕送りをしていた。
“親父もおふくろも、それぞれ別の相手と駆け落ちしたんだ”
涼平はケロッとした顔で言う。
“だけど寂しくない。ミチがいるから”
気の良い男だった。
私と違ったところがあるとすれば、そのまっすぐな気性と、祖父母が待つ実家があったことぐらいだろうか。
私も涼平も、あの眠らない街の片隅で同じようにひとりぼっちだった。
両親が涼平を捨てなければ、付き合う友達の種類が違えば、涼平の人生はもっと違ったものになったのだろうか。
涼平は置かれた立場を卑下することもなければ、他人に八つ当たりすることもしなかった。
ただ、ありのままを受け入れて生きていた。
私の趣味である読書を、涼平は邪魔しなかった。
“俺、頭悪いんだ。学がないから”
小さくため息をつく涼平が可愛いかった。
どんなに怪しげで物騒な本を読んでいても、
“ミチは偉いなぁ。そんなに字かたくさん書いてある本を読んで‥頭が良いんだな。”
と、しきりに感心していた。
私が読書をする傍らで、小さくなって漫画を読んでいた。
涼平のことを頭が悪いんだなんて思ったことはない。
少なくとも、他人に八つ当たりして僻んでばかりいる私よりも涼平は、まっとうだった。