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第14章 【夢から醒めるとき】
「‥信じないかも知れないけど、僕とお兄ちゃんは女を痛め付けるために手をあげたことはない。
プレイ中のお遊びでやんちゃをすることはあっても、手加減するよ。当たり前じゃん…相手はどう考えたって、僕たちよりか弱い生き物なんだから」

孝介が不安げに頬を擦り寄せた。

『‥わかってる。孝ちゃんたちは、あんなことはしない』

色素の薄い瞳が潤んでいた。

「みーちゃんが死ななくて良かった。
また逢うことが出来て本当に良かった…」

*****

「でもさぁ…自分たちだけで話し合えば良くない?
まったくイイ歳して世話が焼ける。
お前たち僕より年上でしょ?揃いも揃ってお馬鹿なの?」

怪しげな部屋で孝介とふたり、ゴロゴロと寝転ぶ。

『オブザーバーだからじゃない?孝ちゃんって頼り甲斐があるから』

私の言葉に、孝介が嬉しそうにニヤついた。
必死で笑みを殺そうとしているけれど、隠しきれていない。

「あーッもう!ミラーボールがチカチカする!誰だよ‥こんな部屋を選んだヤツは‥」

アンタだよ。

「電気消すよ?はい!消灯!おやすみ!」

バタバタと電気を消し、眠りにつくミイラと異常者。

『‥孝ちゃん、怒ってる?』

「は?怒ってないよ。むず痒いだけ‥なんだか…イイ人ぶっている気がして胸糞が悪い!」

『孝ちゃんはいい子だよ?』

「高速に投げこんでやろうか?ブサイク‥
僕の気が変わらない内にさっさと寝なよ。
すごぉくすごぉく自分らしくないことをしているコトにゾッとしているんだから。
横に女が寝ているのに何もしないなんて……」

『下半身に問題があるんだよね!』

「…お前マジでどの口がそんなこと吐くんだ?縫い合わせてやろうか?
ビジネスバッグ取り出すぞ‥?」

お口チャック!


「‥約束しようよ。
みーちゃんさ…これからは“大切なひと”にだけ身体を許しなよ。
それ以外の男は全力で拒め。
お前はお馬鹿だけど、穢れてなんかいない。
露悪的に生きるのは止せ。似合わない。
みーちゃんは、昔のまんまだよ…」

『孝ちゃん…ありがとう…』

孝介と指切りをする。

「……まぁいいや…
自分のモノには出来なかったけど、きっと二度とこんな機会訪れないだろうけど‥誰にも話さなかったコトを打ち明けてくれたから充分。
もうそれだけで、僕は充分……」

*****
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