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Re:again
第14章 【夢から醒めるとき】
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早朝、孝介と立ち食い蕎麦を食べる。
孝介が朝っぱらから天ぷらを食べさせようとするので、小競り合いが起きた。
本当に‥嫌がれば嫌がるほど喜ぶ困った男。

*****

海まで車を走らせた。

「もしも…みーちゃんがひとりで居たくない時は、僕を呼んだらいいよ」

砂浜でピンク色の貝殻を探しながら、孝介が独り言のように呟いた。

「高望みはしないから。みーちゃんは、僕のことは好きにならない。それはよくわかってる。だけど…心が折れそうな時はほんのちょっぴりだけでもイイから、僕のことを思い出して。
―お前が死んだら、僕は生まれてはじめて涙を流すだろうから」

孝介の唇が私の頬をかすめた。

『何もかも…やり直せたら良いのに』

孝介が微笑み、私の手のひらに貝殻を乗せる。

「過去は変えられない。でも、未来はどうにでもなるよ。
はい。桜貝。みーちゃんの願いが叶いますように…」

*****

20時に仕事を終え、爽介に電話を掛けた。
孝介に涼平の話をしたことで、また少しだけ心が自由になった。
空腹を覚えたが、冷蔵庫には何も入っていない。
“あおいのおかしばこ”も底を尽きていた。

玄関から物音が聞こえた。
贈り主の足跡が遠ざかる前に呼び止めた。

『待って!葵!』

ドアを、開けてはいけない。
顔を見れば“部屋にあげない”という決意は鈍ってしまうだろう。
ドアの向こうに葵がいるかどうかは確信がなかった。
きっと私の声は届いてるものとして、口を開いた。

『たくさんのお花をありがとう。5年間、ずっと私のそばにいてくれてありがとう。もう、大丈夫。
ちゃんと目が覚めたから。
《これから》は、ひとりで生きていける―』

―どうか、自由になって。

ドアノブがガチャガチャと捻る音が聞こえた。

「‥みちるちゃん、そんなこと言わないで……開けてぇ‥ココを開けてよ‥もうあんなことしないから‥‥イイコにするから…部屋の中に入れてぇ…みちるちゃん…みちるちゃん…顔が見たい……」

ドアの向こうの嗚咽と悲痛な叫びは長い時間、続いた。
葵の足音が遠ざかるまで、ドアに耳を寄せていた。
少しでも葵の気配を感じていたかった。

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