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Re:again
第14章 【夢から醒めるとき】
「そんなこと‥考えたこともない。
ユウは‥俺のガキはどうしたって還ってこないよ。
―お前と生きようと思った時、ユウが死んだことを初めて受け入れられそうな気がした。
葬式を済ませても、骨壺を抱いても感情がついていかなかった。
ユウの死から逃げて、カレンと向き合うことから逃げた。
ユウは俺より先に逝っちまったのに、変わらず“日常”が流れることが残酷なことに思えて仕方がなかった。
ユウが不憫で、辛くて、何も出来なかった自分に憤りを感じた。
自分のふがいなさに飽き飽きするけど、自分自身からは逃れられない―
俺は、俺にしかなれない。
時間が掛かったけど…俺は自分自身と向き合えそうな気がする。
…後ろめたさは常に感じていた。
自分だけが幸せになろうとしていること。
お前に隠し事をしているということ。
俺は身勝手だ―
だけどこれだけは誓える。
‥お前を誰かの代わりにしようと思ったことはない。
他でもないお前だから、俺たちのこどもが欲しかった…」
『話してくれてありがとう…。
―私ね、恋人を捨てて隣街から逃げ帰ったの。傷付けて……酷い女だよ。
爽介に話せなかったのは、たぶん…自分の醜い部分を見せたくなかったから』
爽介が深い息を吐く。
「……最後にお前を抱きたい。
綺麗な思い出にしたい」
爽介の言葉に、薄く笑う。
『抱かせない。
あるひとと“自分を大切にする”って約束したから。
―綺麗な思い出なんかにしないで……』
「ダメか……
最後の悪あがきでもう一度、お前を夢中にさせてやろうかと思ったんだがな。
みちるに余計なことを吹き込んだ馬鹿は、どこのどいつだよ……」
忌々しげに呟く爽介に、思わず笑みを溢す。
『もっとちゃんと、今のお互いを見ようとすれば良かったね。
昔に戻ったように感じていたけれど、会えなかった《これまで》の時間をひっくるめて素直に向き合えば良かった―』
「寂しいこと言うなよ。お前を好きな気持ちまで錯覚のように言うな。
…さよならだけが人生なのか?」
ユウは‥俺のガキはどうしたって還ってこないよ。
―お前と生きようと思った時、ユウが死んだことを初めて受け入れられそうな気がした。
葬式を済ませても、骨壺を抱いても感情がついていかなかった。
ユウの死から逃げて、カレンと向き合うことから逃げた。
ユウは俺より先に逝っちまったのに、変わらず“日常”が流れることが残酷なことに思えて仕方がなかった。
ユウが不憫で、辛くて、何も出来なかった自分に憤りを感じた。
自分のふがいなさに飽き飽きするけど、自分自身からは逃れられない―
俺は、俺にしかなれない。
時間が掛かったけど…俺は自分自身と向き合えそうな気がする。
…後ろめたさは常に感じていた。
自分だけが幸せになろうとしていること。
お前に隠し事をしているということ。
俺は身勝手だ―
だけどこれだけは誓える。
‥お前を誰かの代わりにしようと思ったことはない。
他でもないお前だから、俺たちのこどもが欲しかった…」
『話してくれてありがとう…。
―私ね、恋人を捨てて隣街から逃げ帰ったの。傷付けて……酷い女だよ。
爽介に話せなかったのは、たぶん…自分の醜い部分を見せたくなかったから』
爽介が深い息を吐く。
「……最後にお前を抱きたい。
綺麗な思い出にしたい」
爽介の言葉に、薄く笑う。
『抱かせない。
あるひとと“自分を大切にする”って約束したから。
―綺麗な思い出なんかにしないで……』
「ダメか……
最後の悪あがきでもう一度、お前を夢中にさせてやろうかと思ったんだがな。
みちるに余計なことを吹き込んだ馬鹿は、どこのどいつだよ……」
忌々しげに呟く爽介に、思わず笑みを溢す。
『もっとちゃんと、今のお互いを見ようとすれば良かったね。
昔に戻ったように感じていたけれど、会えなかった《これまで》の時間をひっくるめて素直に向き合えば良かった―』
「寂しいこと言うなよ。お前を好きな気持ちまで錯覚のように言うな。
…さよならだけが人生なのか?」