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堕ち逝く空
第1章 突然の手紙
 寒さが厳しいどんよりとした空を見上げる。吐く息が白く芯から震える掌を暖めようと息を吹きかけたが、それは一瞬で冷たさにとって代わられた。
 この制服に袖を通してから、三年―――卒業を目指した最終試験も無事に終わりを告げる。もともと行きたいと思っていた大学からは、合格通知も貰っているので、後は卒業式の日までは自由登校となった。
 勉強に関しても、運動に関しても問題はない。
 後ろを振り返ると、学校が目の前にあってなんだか感慨深い気がすると思ったときに、自分を呼ぶ声に小首を傾げた。

「上泉綾香さん」

 今度は止まっていた車から出てきたのは、同じ年頃の少年のようであった。
 もう一度同じように名前を呼ばれる。黒いスーツで全身を纏う姿は異様であると言って過言ではない。綾香はさらに眉間を眇めた。
 性別が少年と思ったのは見間違いか、いや…それ以上に不可思議なモノを、綾香は見ている。どう見ても自分と同じ顔を、少年はしていたのだ。

「上泉綾香さん」

 静かな声で同じように、三度呼ばれて綾香は完全にそちらに顔を向けた。
「聞こえているけど…何?」
 平静を壊さないように、ゆっくりと彼に声をかける。警戒は解いていないのが伝わるが、気にする様子もなく、綾香の方へと近づいてくる。至近距離に来るとさすがに微妙な違いがあったが、一番の大きな違いは彼の顔を半分隠している眼帯であった。

(どうしよう…逃げたい)

 ダッシュ力にも自信はある。けれど目の前に立った彼からは逃がそうとする気配もまるでない。思案していても時間は過ぎるだけだ。仕方ないのでとりあえず記憶に残すべく、綾香は目の前の少年を凝視した。

「私はただのメッセンジャーです、ご安心を」

 すでにフルネームで呼ばれていて、何を安心しろというのか。言葉に出さずに心で思うだけに留めたが、殺気としてでも伝わったらしい。彼は苦笑すると小首を傾げた。
 眼帯は全体が黒で、どうしても中二患者に見えてしまう。おまけに中央にあるのは、鉄十字を象っている。これは知る人ぞ知る亡国の勲章であり、またその縁にある騎士団の紋章であった。
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