この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
 

 

 煉瓦造りの大きな建物は、威風堂々として天高くそびえ立っている。

 昨日の嵐などなにもなかったような、見事な晴天を貫きそうだ。


 正門を潜り、道なりに沿って中央棟だとかいう場所に向かうあたし達。

 所構わず突き刺さる周囲の視線。

 これは……うん、あたしが抓ったナツの赤いほっぺを見ているに違いない。しかしこの子、どうして虐げられても嬉しそうなのかしら。


「ナツ、どうしてあたしを大学に連れてきたの?」

「……しーちゃんと一緒に学校通いたかったんだ」


 頬を摩りながら、悲しげに微笑むナツ。


 あたしとナツは10歳違い。

 ナツが小学生に上がったときは、あたしは高校に入ったばかり。

 ……ナツのストーカー行為は、ナツが保育園に入る前から続いていたけれど。


「しーちゃんが昏睡した時、絶望した。そんな中で波瑠兄が言ってくれたんだ。奇跡を信じろって。俺が必ずお前に奇跡を見せてやるからって。……だから僕は信じていた。しーちゃんが必ず目覚めることを。波瑠兄がその方法を見つけてくれることを。

本当に奇跡だよね、12年間辛抱した甲斐があった。ようやく僕の方が2歳も年上になれたんだから。年上になったらしーちゃん僕をお嫁さんにしてくれるって言ってたから。だからすごく嬉しい。嬉しいんだよ?」


 目に涙を滲ませる、可愛いナツ。

 きゅんきゅんさせるナツ。


 だけどアンタは忘れてるよ。


 12年前は17歳でも、12年後のあたしはアラサー。

 現在19歳のナツは、あたしより年上にはなれはしない。


 しかも旦那ではなく、嫁になりたいのか。

 大体あたし、そんな約束したっけ……?


 可能性としては、まとわりつくナツがうざったいから、適当に言っただけのような。


「僕……掃除洗濯料理家事全般、花嫁修業頑張ったよ。いつでもお嫁にいけるからね?」

 
 なんて愛らしい、健気な子。

 だからあたしは真実を言えないじゃないか。

 とりあえず、イイ子イイ子。



 喜んでいるナツを見て、あたしもつられて微笑んだ。

 ああ、すごいバカップルと思われているんだろうな。


 だけどそれでもいいや。

 この子、変態だけど可愛いから。


「夜もスケスケパジャマで頑張るからね。ア・ナ・タ」


 ……いいのか、本当に!?


/920ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ