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目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
 


 甘い、おいしい……。

 そして気持ちがいい……。


 かつてスイーツ好きだったあたしにとっては、至福のタイム。

 だけど、舌が異物を乗せて出入りする様は、淫らに絡み合いながら互いの口の中に出し入れする様は、淫猥すぎるあまりにも刺激的な光景。



「ん……ふ……っ、んんっ……」

「しーちゃん……ん……可愛い……」



 声を落として、密やかになされている秘め事。

 気づかれているだろうか。


 そう思うと、ぞくぞくとした昂奮が芽生える。


 教室でするものではないとわかっているのに、周囲の雑踏が気にならないくらいに、ナツとのキスに夢中になる。


 やめられない。
 
 息が上がろうが、音が強まろうが。


 濃厚な甘さに酔い痴れそうになる――。

 

「ん……ナツ……んんっ……」

「ふふ……そんなに……ん……いいの?」



 甘さが欲しい。

 もっともっと欲しい。


 自分からナツに舌を絡めてより甘さを求めてしまう。

 ナツの唾液を舌で掬って、こくりと飲み込めば……あまりに甘い感触に、思わず目を細めてしまう。


 ああ、この甘さ……。

 溺れそう――。



 やがてチョコは溶け、ぴりっと辛く思う液体が口の中に拡がった。

 これがウイスキーなのだろうか。


 舌先にさらに熱が宿り、じんわりと体に浸透していくようだ。


 アルコール慣れしていないあたしの惚けた姿に、ナツが細目で笑う。

 ナツの舌は、深くまで染み渡らせたいかのように、あたしの口腔内を強く擦り上げる。


 ああ、やめて。

 そんなに刺激を与えないで。


 どくん。


 ……ああ、やっぱりきた。


 いつもより脈動が小さいのは、アルコール度が足りないせいなのか。それともまだ栄養が切れていないからなのか。


 中途半端に燻る体がもどかしい。



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