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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。


 疑問を抱えながら、結局あたしはナツに浴室に放り込まれ、体をゴシゴシ洗いながら、訝り続ける。


 途中、必要以上に頻繁に声をかけてきて、浴室のドアを開けたがるナツを必死に追い返す。

 しまいには、"お背中お流しします"と新婚さん(ただし嫁)のように恥じらいの声を響かせて、堂々と入ってこようとするナツ。


 ドドドと猪の如く凄い物音をたてて、


――奈都、成人してもないのに、佐伯家で静流ちゃんとえっちなことは許しませんっ! はい、お片付けと静流ちゃんのお部屋の支度、明日の朝食の仕込み! ぶつぶつ言わないで、さっさとする! 


 おばさまの声がしてから、ナツは現れない。

 おばさま、強し。


 ……だけど、佐伯家以外ならえっちをしてもいいってこと?

 成人すればいいってこと?


 よくわからない、佐伯家の性事情。

 やはり普通とはちょっとずれているのかもしれない。


 まぁ……淫魔であるママをよく知りつつ、その血を引いて目覚めつつあるあたしの事情を知りつつ、それでも息子を提供して好意的に接してくれているあたり、普通では無いのかも知れない。

 開放的なのは、ありがたいとここは受け取ろう。


「………」


 ……あたしは体を洗いながら固まった。

 泡立てたスポンジは、あたしのデリケートゾーン。


 いつもと違う、ぬるりとした感触。

 すぐに消えて行く白い泡。



「………」


 ……まぁ、あれです。

 ハル兄のサックス姿に、はっちゃけても濡らしてしまっていたようです。

 下着を脱ぐ時気づかないふりをしていたものの、すごい。

 ハル兄のサックス姿を思い出すだけで、また凄いことになってくる。


「………」 


 ほんの好奇心だった。

 泡を溶かす蜜がどれほどのものなのか……指で触ってみた。


「……んっ!!」


 どろどろの感触よりは、待ちかねていたかのような自分の指の接触に、あたしは体をびくんと跳ねさせてしまったのだった。


 反響する艶めかしいあたしの声に赤くなりながらも、それでもどうしてもあのハル兄の顔が、あたしとした時のハル兄の顔とたぶるようで、蘇る体の疼きが……さらなる刺激を求めてあたしの指を動かした。

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