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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
ナツから借りた柑橘系の爽やか微香を放つシャンプーの匂いが、別のものを使ったらしいハル兄により、サンダルウッドのような渋みと甘さが混ぜ合ったようになってくる。
ハル兄の匂いというように、大人が持つような独特の香りが浴室を独占し始めると、ハル兄に包まれたような妙な気分になってくる。
浴槽の縁に両手をかけ、ちろっと覗いて見た。
ハル兄……凄い筋肉。
ワイルドな褐色な肌を、こうして立体的に見たのは初めてかもしれない。
あの体できゅっと抱きしめられたら、さぞかし……。
思わず、こくりと喉が動く。
何人の女がこの体に夢中になったのだろうか。
この裸に爪をたてて、歯を立てて……絶頂を迎えたのだろうか。
帝王のあの苦しげな顔に胸キュンして、帝王のキスを貰って。
帝王は、どれだけ多くのハーレムを築いてきたのだろうか。
あたしはその中のひとり?
それともまだ入れて貰えるほどの魅力もない?
「……っ」
ああ、なにを考えているんだあたしは。
裸を見せ合う以上のことをハル兄としたというのに、ハル兄の裸で扇情されるあたしはなに?
ハル兄のフェロモンに惑いすぎて、淫乱女の思考まっただ中にいる。
あたしは壁タイルにガンガンと頭をぶつけて、邪な思考を取り除く。
なくなれ、なくなれ、淫乱思考。
戻ってこい、あたしのピュアな心。
ガンガンガン。
「お前なにやってるんだ?」
そんなことをやっていたから、まるで気づかなかったんだ。
すべて洗い終えたらしい帝王が、浴槽の中に入ってきたことに。
というか、既に半身から下がもう湯の中で、帝王はあたしの逃げ道となる部分に腰を落とされていた。