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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
 慌てふためくあたしの胸に強く回される、がっしりとした二の腕。

 ハル兄の熱い肌があたしの背中に息づいている。


「あれを見て、なんで俺が平気でいられると思う?」


 どくどくと感じるのは、どちらの心臓なのか。

 ハル兄のはずはない。だったらあたし……?


 あの体で抱きしめられている……。


 そう思ったら、下腹部がずんと疼いた。


「俺、かつてない深刻な寝不足で脳みそやられてるんだよ。おまけに酒も入ってるんだよ。大嫌いな我慢もしてるんだよ。俺、36のオトコなんだよ。

その俺にあんなの見せつけて……お前、俺をどうしたいわけ?」


「え、あの……その……」


 見せつけたわけではないのだけれど……。


「なぁ……。俺がいるんだぜ、近くに。なんでそんなことする? 本物がいるんだぞ、お前の近くには。

俺……お前の残り香が消えねぇ中、ナツだ自慰だと煽られ続けりゃ、"いい兄貴"を演じきれねぇぞ? お前……俺がオトコってわかってるのか?」


「ハル兄……?」


 なんだかいつもと様子が違う気がした。


「俺のではまだ足りねぇわけ? なぁ……淫乱なシズルちゃん。今日ナツに何回イカされたわけ? どこでなにを入れられたわけ? あれだけナカにさせるなって言ったのに、なに絆されかかったわけ? 栄養不足でもねぇくせに……。3回しなかったのがお気に召さないのか?」


 ナツから今日のことは聞いているのだろう。

 ……多分、演奏の前あたり、ナツは話したのかもしれない。


「……エロくて貪欲なお前は、結局のところ、俺の演奏見て……濡らしたんだろう? 昼のように……ナツがいる前で。

あんなとろんとした顔で、ひとを煽りまくってよ」


 囁くような声が耳を掠める。


「俺に、欲情したんだろ? 

だからここでオナってたんだろ?」


 是とも否とも言えずにいるあたしに、焦れたように……首筋にねっとりとした舌が這った。
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