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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
「とにかく暫くはウチで過ごしなさいね、静流ちゃん。静流ちゃん専用に、使っていなかった客間解放したし。足りないものがあったら言ってね」
優しい佐伯家の人々。
ただお隣さんでお友達だったというだけで、彼らもおかしなことに巻き込まれて、使わなくてもいい気を使っているんだ。
おじさんとおばさんがいなくなり、居間には三人が残った。
「しーちゃん、恐くないからね。僕がいるからね」
ナツが優しく微笑んであたしの冷たくなっていた手を、両手でぎゅっと握った。
「だから……今日は一緒に寝よ?」
ナツがしっとりと微笑みながら、耳もとで囁く。
「夜、しーちゃんのお部屋に行っていい?」
真っ正面から、突き刺すような痛い視線を感じる。
――……夜、部屋の鍵…開けとけよ。
ハル兄からだ。
この視線、恐ろしくて拝顔できない。
やばい、これはやばい。
これは一体どうしたら……。
どちらを断るべきか……。
やはりここは、先約を優先すべきだろう。
了承した覚えもないけれど、帝王様ルールは絶対だから。
「ナ、ナツ。あたしは大丈夫だから、ひとりで寝る。ほ、ほら今日は色々あって疲れたし」
そうぎこちなく笑いながら、暗に体を酷使させたのはお前のせいでもあるとばかりに突き放すと、ナツは悲しげな目を見開いた。
「しーちゃん、そんなこと言わないでぇ……。お揃いのパジャマ用意してたんだよ、僕。着替えてくるから」
「いやいや、そういうことじゃなく。ひとりで寝たい」
「警戒してるの? しーちゃん疲れているのなら僕なにもしないから。だから一緒に寝よう?」
疲れていなかったら、なにかをする気だったのだろう。
「疑う? なら、はい指切り。念書書いてもいいから」
なぜかナツは必死で。
「いや、ほら……お布団狭いし」
「だったら僕の部屋に来て? 僕のお部屋のベッド、セミダブルだから。うん、それいいよ。僕のベッドなら十分ゆっくり眠れるし、しーちゃん眠れなかったら僕子守歌歌ってあげる」
ナツは引き下がる気がないようで。
「しーちゃん、一緒に寝ようよ」
甘えっ子のようにあたしに抱きついてくる。