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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
 


 あたしは用意された客室の布団の上、体育座りをしながらひとり考える。


 目の前には、あたしが施錠したドア。

 

――……夜、部屋の鍵…開けとけよ。

――しーちゃんが、僕のところに来るのをずっと……待ってるから。



 ふたり、あたしを誘いながらも、あたしの態度に展開はうやむやで。



 ハル兄は、あたしがナツと寝るものだと思っている。

 ナツは、あたしが多分……ナツ以外の"誰か"と寝るものだと思っている。可能性的にハル兄を思っているだろう。



 あたしは――

 このドアを誰のもとに繋ぎたいのか。


 あたしは兄弟の命がけの精液を必要とする体になってしまった。

 だからその代償として、できる限り兄弟の望むことはしたい。無償の犠牲なんて強いたくはない。


 緊急時以外の戯れを望まれ、セフレやら性処理道具やらの扱いとみなされていても、あたしが口出しする権利はないと思っている。

 そこに愛があろうとなかろうと関係なく、兄弟が望むものを与える代わりに、あたしもまた彼らから貰う、……そんなキブアンドテイクの割り切った関係になることも仕方ないと覚悟している。


 だからあたしは、相手のところ構わずの変態的な気まぐれに辟易しつつも、軽くは思われたくないと思いつつも、結局は拒みきれずに流されているのだ。

 川の流れが穏やかだろうが激しかろうが、両者の心を伴わない体の関係に……否、与えられる快感に身を任せて――。


 命の糧だけではなく、恋人のような愛をも願うことは贅沢すぎる過ぎた望みなのだ。危険を冒させて精液を貰えることだけでありがたい、それほどのリスクを強要しているのだから。


 栄養切れではない今――。

 兄は淫行を望み、弟はただの添い寝でもいいから一緒に寝たいという。

 あたしを欲する兄弟。そこに特別な意味をもたせたいとも思う、あまりに調子に乗りすぎるなあたしは、特別な幼なじみ相手にその気持ちに蓋をした上で、客観的立場で今、どちらを選ぶか決めないといけない。


 あたしがどちらを選ぶことで、どちらかを切り捨てることになる。



――……夜、部屋の鍵…開けとけよ。

――しーちゃんが、僕のところに来るのをずっと……待ってるから。



 どちらもあたしの体を求めるのなら。

 どちらをも満足させるために、あたしは――。

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