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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
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「あ、あああっ、駄目、駄目っ、ハル……兄っ! そんなに強いのは駄目っ!」
「こんなので根を上げるのか、シズ。お前が欲しいのは、これだろ? これがいいんだろ……?」
「あぁぁんっ、それ駄目だって言った……のにっ、くっ……! はぁっ……ナツ……っ、これでイける……? ナツは、もう無理だよね……?」
「ふふふ、しーちゃん、イケナイ子。まだまだ僕は……頑張れるよ。昔の僕とは……違うんだよ? ……ほら、これどう?」
「ああ……そんな、ああんっ、それ駄目、駄目ったらっ! ナツ、ナツ! それやっ、それをされたら……ハル兄が……ああああっ」
「シズ。お前の相手はナツじゃねぇだろ。ほら、これでも食らえっ!
――『革命』っ!!」
「折角強いカードばかり集めてたのに、ハル兄の馬鹿――っ」
……目の前には、ハル兄が捨てた4枚の『2』のカード。
結局……その"大富豪"は、またあたしの負け。
「はい、しーちゃん。ビリはコサックダンス50回。が~んばっ」
「くっ……! これで何回目よあたしっ!!」
両腕を組みながら、ナツの拍手に乗り、片足ずつ伸ばしてヨッタヨッタ。時折ごろんと床に転がる。
……そう、あたしは選ぶコトが出来なかった。
どちらも大切なふたりの幼なじみ。
セックスがあろうがなかろうが、どちらかを選ぶこと自体が恐れ多い。
だからあたしは、枕持参でナツの部屋に赴き、あたしとお揃いのパジャマを着て俯いていた顔を、ぱっと輝かせて見せたナツを問答無用で引き摺り、そのままハル兄の部屋へ。
ハル兄は部屋で――。
――な、なんだよ、悪いかよ、俺が"これ"をしていることがっ!!
2,000ピースのジグゾーパズルをしていじけていた。
哀愁籠った背中を丸めて。
――いいじゃねぇか、俺様の趣味がパズルでもっ!
全然進んでいないハル兄のパズル。
心此処に在らずといったいじけ具合を可愛く思いながら、ナツが部屋であたしと遊ぼうと用意していたトランプを持参していたあたしは、そこでエンドレス大富豪を提案し、強制的に始めたのだった。
今日はあたしの12年を繋げてくれたお祝い日だというのなら。
あたしだって兄弟の仲を繋げたいんだ。