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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
◇◇◇
佐伯家にお邪魔してから、2日経つ。
今のところ精液を摂取していなくても、あたしの変調はない。元気だ。
ハル兄の分、直後のナツの分……過剰すぎるストックのおかげなのだろうか。採血がないからあの時ほど貧血による食欲不振はないものの、逆に空腹感は増している気がする。
身の安全にと籠城を申し渡されたあたしは、働きもせずに家にゴロゴロ。少しくらいはおばさんのお手伝いはするものの、ニートと言うよりは完全に佐伯家のヒモ状態だ。
さらには待ちかねていたおばさんの食事は、おいしいと思いああ食べたとは思うものの、なぜか充実した満足感を得られず、腹六分目あたり。
何様だよ、あたし。
こんなあたしの状況は、皆には言えない。
あたしだってひととしての常識やプライドがある。
そんなことで片付け終わった昼食後、直後覚える薄い飢餓感を誤魔化すように、冷蔵庫の前でこくこくとペットボトルの水を飲んでいたら、食卓の椅子に反対側に座ってあたしを見ていたナツが、恨めしそうに呟く。
「僕、健全な若者なのに……」
「それはあたしが不健全な年寄りだと言うこと?」
意味をわかっていながらそう返せば、ナツがぷぅと頬を膨らます。
「違うよ、健全な若者の精液は、とってもイキがよくて何回もおかわり可能だということですっ! 僕はおいしく飲まれる気満々で、いつでも準備OKなんですぅっ!」
食卓の椅子をカタカタ揺らす、欲求不満な困った王子様。
可愛く尖った口から出てくる変態発言。先の窄まったナツの可愛いお口に、飲んでいたペットボトルの口をぼすっと突っ込むと、ナツはやがておいしそうにそれを飲み始めた。
欲求不満も高ずれば、幼児返りするらしい。
ああ、幼子にほ乳瓶を与えた母親の気分。
「うふふ、しーちゃんと間接ちゅ~。ちゅ~」
……赤子は、違うモノを喜んでいるようだけれど。