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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
ナツは佐伯家でハル兄よりも権威を持つ、だけど他人からは影の薄いおばさまによって、
『僕は純潔な花嫁となるため、成人するまで実家では葉山静流さんとえっちなことはしません。もし破ったら、僕は静流さんの花嫁を諦めます』
という、誓約書を泣く泣く書かせられたらしい。
――ナツ、静流ちゃんの同居は"婚前ラブラブ同棲"ではなく、"静流ちゃんの安全を確保する避難場所"よ、静流ちゃんを追いかけ回すアンタが危険分子になってどうするの!!
別にナツのせいではない。
しかしおばさんにとって、ハル兄があたしにどうのということは考えてもいないらしく、あたしがやけにふたりに気を使い陽気に振る舞っている……その原因はナツのせいだと決めつけ、ナツを抑えるために、誓約書を書かせる荒技に出たらしい。
なんで"成人"と"実家"という限定事項が、誓約書に組み込まれたのかよくわからない。
おばさんはあたしに助け船を出してくれたのだろうが、本気で純潔な花嫁としてナツをあたしに嫁がせるつもりなのだろうか。
そして、いまだあたしに結婚の同意は求められていない。
冗談だろうと黙っているのだけれど、本気じゃないよね……?
「お喉渇いているしーちゃんを連れ出して潤してあげたいけど、お外は安全が確認できるまで連れ出せない……。うう……っ。僕……ひとりでスるのはやめて、いつでもしーちゃんにおいしいところをあげれるように濃い~の溜めているのに。どこまで濃くなっちゃうのかな」
あたしを家の外に連れ出しても成人になっていないナツは、年齢制限に抵触することは気にしていないらしい。外に出られることを心待ちにしながら、その時まで自制しているらしい。
相も変わらず、変態発言を平気でしてくるその美麗な顔は、こちらが絆されそうな哀切さを色濃く出している。
ああ、黙っていればため息もののの王子様なのに、どうして残念なんだろう、この子……。
それでもきっと、外向きの顔はこんなギャップは見せないほど、涼やかな大人びた顔でいるのだろうと思えば、別の顔を見せてくるナツには嫌悪感はわかない。
誰もが引くだろう変態発言も、本当にどうしようもない子と微笑ましく思えてしまうあたしは、大分ナツの変態さに染まってきたのだろう。
ああ、あたしのピュアの心よ、いずこに……?