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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
「ハル兄、そこまであたしは頼りないの!? ナツと揃って文殊の知恵、なにか出来ることがあるかも知れないじゃないっ!!」

「医者になにか出来るのか、ド素人が」

「……くっ!! セ、セラピー的な……」

「セラピーなら行ったよ、心療内科って奴にも精神科にも」

「そこまで辛いの!?」

「当然だろうが!! 俺の辛さを理解出来るのは、ナツだけだ。お前だけは無理」

「除け者にしないでよっ!!」

「これはオトコのコカンに関するんだよっ!!」


 あたしはぐすりと鼻を啜って、一応お伺いをたてた。


「……ハル兄、ここは"沽券(こけん)"だよって、突っ込んでいい?」

「わざとだ、このボケ。それで察しろっ!! もう本当に……これ以上は傷口を抉るなっ!!」


 ……え?


 オトコのコカン?


 まるでわからないあたしは、またほろりと涙を流してしまった。



「だぁぁぁぁっ!! この鈍頭っ!!

お前の涙に俺は弱いのを、知っててわざとか、わざとなのか!?」


「……わざともなにも、この涙が偽物とでも言うの? あたしがハル兄の過去の女みたいに、涙でハル兄の気を引いてなにかメリットある!?」


 ハル兄はなにか言いたげに口を開いて、だけど唇を噛み、その内両手で自分の髪をぐしゃぐしゃに掻き毟り始めた。

 これはあれだ、自暴自棄。

 追いつめられた者が取る、自虐的行為。




「……だよ」


 突然ぼそりと言われて、聞き逃した。


「へ?」


「だぁぁぁぁっ!! 絶対わざとだろ、お前!!」

「神仏に誓って、天然です。……で?」


 耳をハル兄の口元に持って言った。


 するとハル兄はあたしの耳もとで怒鳴ったんだ。




「EDだっ!! 末期の回復見込みのない、最悪の――っ!!」


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