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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
 大声に頭がガンガンするのを抑えながら、頭の中で反芻する。


「ED……?」


 ……って、なんだっけ?



「Erectile Dysfunction…略してEDっ!! インポテンツ、勃起不全……ようするにっ!! 勃たねぇんだよ、俺様のイチモツがっ!!」

 



「……え?」



「どんな穴にぶち込もうとしても、反応なく萎れたままなんだよっ!! 診断結果は深刻なED!! これがお前に隠していた病名だ、あああああっ!! お前にだけは言いたくなかったのにっ!!」



 かぶりと耳を囓られ、あたしは悲鳴を上げた。


「ええと……それは死ぬの?」

「EDで死んでたまるか、俺様は老衰するほど年じゃねぇ!」


 またがぶりと、耳を食われた。


 サバンナの帝王は元気がなくても、野生は残ってはいるらしい。



 つまり……。

 巨根がご自慢の帝王様は、ご自分のモノが勃起出来ないのを大層気になされて、ここまで衰弱してしまったと言うこと……ですか?



「命……に関わることじゃないの?」

「しつけぇな、お前も! 死なねぇけど、死ぬのと同じくらいオトコにとっては一大事なんだよっ!! しかも36歳はデリケートな歳なんだぞ!? 予想以上に早く来たのは、これも皆……お前のせいだ、アホタレっ!!」


 あたしの腹の贅肉を思いきり摘ままれ、捻られた。


 なんであたしのせいかはよくわからなかったけれど、ハル兄は……死なないの? 死ぬことはないの……?


「……ハル兄、香水ぷんぷんさせてきたのは?」

「……ちっ。風呂入ってたのにな。あぁ、いろんなタイプの据え膳の試し食いだ。俺だって必死なんだよ!」

「……で、結果は?」

「黙れよ、お前。……なに勝ち誇って笑うよ!?」


 ああ、愉快痛快。


 撤退を余儀なくされた、百戦百勝が自慢の帝王様。

 命があればこそ、帝王の失敗談も笑い話になるわけで。



 そう思ったら――。

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