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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
「……シズ。泣くか笑うか、どちらかにしろよ」
困った顔でハル兄が見上げてきた。
「ハル兄、ざまぁ」
「お前な……」
悪態くらい許して欲しい。
「……よかったよ、ハル兄……っ!!」
あたしは鼻を啜ってハル兄の首筋に顔を埋めた。
「死ぬかと思ったら、消えてしまうかと思えば、恐かったんだからっ!!」
本気で本気で恐かった。
きっとハル兄にはわからない。
そう思っていたら……。
「……そりゃ恐いよな」
意外にも同意したハル兄が、あたしの後頭部を優しく撫でた。
「俺も、12年間……恐かった」
真摯な声。
「お前を目覚めさせるまでは死なねぇと思った。そしてお前が目覚めてからは、……意地でも死にたくねぇと思ったよ、俺は」
ため息のような吐息で、あたしの耳もとにある髪が揺れた。
「だから安心しろ。俺は死なねぇよ、シズ。お前が生きている限りはな」
ハル兄の声に、言葉に……胸がきゅうと音をたてた。