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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
「どうした?」
一体ハル兄はどうしちゃったの?
もしかして、熱出したひとが子供に返って、甘えっ子モードになってしまうっていうあれ? 鬼畜の子供時代は優しかったの?
色々な疑問符が巡る脳裏。
「ハル兄、お熱?」
「ん……? どうだ?」
こつん。
「熱あるか?」
額同士をつけてきたハル兄。
これはやばい。
なんだかよくわからないけど、この状況……あたしがやばい気がする。
「俺より、お前の方……熱くねぇか?」
ハル兄がふっと口もとで笑う。
吐息が顔に掛かった。
少しタバコ臭い。
「……お前、俺の熱にやられたか?」
もぞもぞとハル兄の足が動き、あたしの足に絡んでなお動く。
「それとも俺が……お前の熱にやられてるか?」
行き場のないなにかを、伝えたがっているように。
「………」
「………」
「シズ……。なにか返せよ」
「………」
「シズ……?」
返せるはずがないよ、ハル兄。
きっと心臓バクバクのあたしの顔は真っ赤っか。
許容量を振り切っている。
きっと帝王様のお戯れだ。
こんなあたしを見て、きっとハル兄は笑っているだろう。ガキだなと。
そう思い、恨めしげな目を向けると、ハル兄は真剣な眼差しであたしを見ていた。どこか切実で熱の孕んだその目を揺らしながら。
冗談には終わらせる気がないのなら、
今……ハル兄はなにを考えているの?
「シズ……」
ハル兄がそんな目であたしを見つめたまま、頬に手を添えた。
「そんな顔すんな。誤解しちまうぞ、俺」
苦しそうに目を細め、添えた手の親指であたしの下唇をなぞる。
「お前の体を満足させることが出来なくなった情けないオトコに……夢見させんなよ」
「……治療できないの?」
「今それ聞くか? もしも話で方法は提示されたが、非現実的すぎて絶望的。だから、もうオンナは……お前は抱けねぇ。どんなに抱きたくても」
焦れたような、オスの眼差しで。
「こんなことになるのなら、オトコである時に、心を殺さねばよかった」
近づいてくるハル兄の顔。
あたしは、無意識に目を閉じる。
「シズ、俺は……」
ハル兄の吐息が顔に掛かる。
そして、あたし達の唇は――。