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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
"どうだ、俺様はすごいだろう"
"お前はしょぼいな"
帝王様の"ふっ"とした顔から、読み取れる真意はわからないが、とりあえず帝王様の偉大さに平伏したくなる。
光沢がかった黒のロングタキシード。
シルバーのベストと襟が大きく開かれた白いブラウスから、覗く赤いスカーフが首元のアクセント。
ああ、もうこれは、帝王様の生まれ持つ素材がどれだけ極上なのか強調させる服装にしか見えない。
「せっかくですが、あたし帰り……」
「シ~ズ。帰らせねぇぞ」
気づいたら夕子さんもニャン吉もおらず、あたしはみーみー泣きながら、柱に抱きついてしまった。
「抱きつく相手が違うだろうが」
ハル兄は柱からあたしを引きはがすと、自分の腕にあたしの手をくぐらせた。
そして意味ありげな目をあたしに寄越して、耳もとで囁く。
「すっげぇ……そそられる。……いい女」
そのうっとりとした声に、あたしの胸は早くなる。
「俺を誘ってるだろ、お前」
その手が、あたしのスリット部分の太腿を撫でると、あたしは思わず、声を漏らしてしまった。
「しかもなんだよ、この髪……」
ハル兄がうなじを触ったと思った瞬間、
「――っ!?」
その唇で吸い付かれた。
そして鎖骨にも強く吸いつかれ、見事な赤い華が出来る。
「ハ、ハル兄、ちょ……っ」
「お約束だろ? 俺の所有の印だ。存分に他に見せびらかせよ?」
そう満足気に言うと、帝王様はあたしの肩を抱く。
「御堂が携帯で誰かと話し始めたと思ったら、そういうことか。俺好みに仕立てて、俺と色合い揃えて……。お節介なまでの、据え膳をくれたよ」
ハル兄は口もとで笑った。
「崖っぷち36歳の切ねぇ気持ちをわかる友も、いいもんだな」