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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
「仕事さぼらず、あっち行って仕事しなさいよ!!」
「そう思えど、波瑠さんからの指示は誰よりも絶対的です」
「ハル兄の?」
人の埋もれてさっぱり見えない。今ではどこらへんにいるのか。多分、女の比重が大きいあそこらへんだろうとは思うけれど。
「せっかく偶然波瑠さんに会えたのに。なんで見張りなんか……。まったく、こんな淫乱女の何処がいいんだか」
「い、淫乱!?」
「ああ、淫魔だってことは聞いてます。だからナツに渡したでしょう?」
クソメガネは耳もとで囁く。
「『イカサズコロサズ』」
「ぶほっ」
ウーロン茶を吐き出してしまったのだが、クソメガネはすっと顔をくいと傾けただけであたしからの噴射攻撃を避けた。
こいつ、出来る。
「まあそのおかげでナツがパワーアップできると喜んでいますし。明日から強化合宿に入るようですからね」
「強化合宿?」
「ええ、早漏回復の」
「げほげほげほっ!」
ナツ、合宿!?
「おおっと、客に呼ばれたので、少し席外しますが……俺や波瑠さんがいない間に、あっちにふらふらこっちにふらふらしないで下さいね」
「アンタはあたしのオカンか!!」
「俺にこんな馬鹿な娘を産めるなんて思うのなら、精神科に掛かった方がいいですよ。そしてまずはオトコが子供を産めないという、初歩中の初歩である生物学の基本真理を学んできて下さい」
「行かなくても、それくらいわかるわ!!」
クソメガネは鼻で高慢に笑うと、あたしの前からいなくなる。
無駄に体力を使って、ますますお腹が減ってしまった。
「あの……」
「なに!? さっさと仕事しなさいよ!!」
クソメガネが帰ってきたのだと思ってしまったあたしは、怒鳴りながら振り向いたのだが、そこには正装姿の見知らぬ若い男が居て、男は驚いた拍子に持っていた赤ワインのグラスを自分にかけてしまった。
男の着ている白い背広がブラウスがそのズボンが、簡単に言えばすべてのものが、血のように派手に赤く染まっていってしまった。