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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 



「おめでとうございます。赤です」




「やったぁ、ハル兄!! 勝った、赤だった!! 倍になったよ!!」


 初ギャンブル、初勝利。

 歓喜するあたしとは裏腹に、ハル兄は台に片肘をついて、ひどくご機嫌斜め。


「……お前、ナツがいいのかよ」 

「は? なんでナツ? そんなことより勝ったよ、あたし!」


 するとハル兄は舌打ちをしてぼやいた。


「俺は全然嬉しくねぇ。いいか、シズ。これから選ぶのは黒一色にしろ」

「え? あたしもういいよ……十分」

「駄目だ。お前が俺を選ばないと、俺は許さねぇ」


 元ヤンらしく、バキバキと手の骨を鳴らす物騒な帝王。


「……あの、赤か黒かの話だよね?」

「そうだ。俺様の話だ」


 話が、よく見えない。


 その後も、あたしに黒を強いて、チップを置かせ続けたハル兄。

 面白いほどにルーレットはその通りになっていく。


 ルーレットを開始してから1時間弱。

 他の参加者はいなくなり、手元はあっと言う間に200万分近くになった。


 黒が1回につき10万ずつ稼ぎまくった結果だ。

 黒のおかげだ。黒サマサマだ。


「もう黒好きっ!! 愛してるっ!!」

「……だろう? シズ。もっとこっちに来て言えよ」


 黒を褒めれば褒めるほど帝王が喜び、甘い吐息を漏らしてあたしを引き寄せ、足の内股を摩りながら、また赤い華を咲かせようとする。

 足を踏んづけてようやく切り離しに成功すれば、ハル兄は拗ねた顔をした。なんでこのひと、睦み合いの時のような甘えっ子モードになるの!?

 帝王様の切り替えスイッチがどこなのか、あたしはさっぱりわからない。


 その後のルーレットは、たまに負けることはあるものの、順調に黒だけの賭け方で財産が貯蓄されていく。


 当りまくれば、チップはもう玩具としてしか思えない。

 ギャンブル中毒者の麻痺した思考力が、わかる気がする。

 こうやって人間は堕落していくのだろう。


 あたしにとっては救いが、ハル兄はあくまで冷静な客観的な立場にいるということ。喜ぶあたしを見て楽しそうにはしているが、その切れ長の目は決してギャンブルに溺れたものが持つものではない。

 ハル兄はなにかを考えている。
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