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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

「ひぃぃぃっ!! ハル兄、幾ら黒好きでも、もう黒は出ないよ?」

「黒の全盛期が過ぎようと、俺は黒の回復力と発射力に期待する。黒は36歳崖っぷちの救世主だ!!」


 なにやら拍手が聞こえてきたのは気のせいだろうか。


「なにそれ~」


 ハル兄があたしの前にあるチップを、黒に賭けてしまった。


「ハル兄。やっぱり、赤。なんか赤がいい!! あたしの直感!!」

「お前の直感なんてあてになんねぇ。36年来の勘一発。黒で勝負っ!!」

「赤っ!! あたしは勝利の女神なんでしょ!? 赤、赤、赤っ!!」


 しかしハル兄の力に競り負けた瞬間、ルーレットが周り、玉が投げられ……ディーラーが賭の追加変更の終了を告げるベルを手にしようとした瞬間。


「勝利の女神を信じて赤」


 突然言い出したのはハル兄で。

 ハル兄は台の上のチップを、そこからさらに動かした。


「そして、俺の未来を信じて……36に」


 ハル兄はやった。

 にやりと笑う余裕まで見せて。


「赤の36。全てを賭ける」


 1点賭けという、恐ろしく高いリスクのある賭け方で。

 ……50万ほどの全財産を注ぎ込んだ。


 ギャンブラー過ぎる。

 あまりにも無謀だよ、なに36歳に拘ってるんだよ!!


 赤だけでいいじゃん。

 またこつこつしていけばいいじゃん。


 直後ベルが2度鳴り、そして――。



「!!!?」



 そして玉が入っていた場所は――。








「赤の36。おめでとうございます。36倍になります」




 50万×36=1800万。


 山に返ってきたチップを見て、あたしは――



「ひぇぇぇぇ」



 腰を抜かした。


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