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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 


 周囲から拍手と歓声があがる。


「シズ。36歳恐れ入ったか」


 不敵に笑う帝王様。


 あたしはただ感動と昂奮で、コクコクと首振り人形のように頷くだけ。

 泣けても来ちゃった。


 心臓に悪い帝王様。

 帝王様の生き方こそが博打だ。

 このひとと一緒にいれば、どんな事態になっていくのか予想がつかない。

 だけど昂奮する。ドキドキする。

 ……ハル兄が凄く格好よく見える。


「どうした、シズ。ぽーっとした顔で。ん?」


 あたしの顔の紅潮具合をわかっていて、わざとからかう帝王様。

 そして優しげに目を細めてあたしの頬を指で撫でる。


「とろんとした真っ赤な顔。俺に惚れ「衣装プラス吊り橋効果って凄いね。ドキドキ詐欺だよ」


 ハル兄がやけに甘い顔でなにか言おうとしていたが、それを遮り照れを誤魔化すように言ったら、ハル兄が唇を尖らせてすねてしまった。


「あ、ごめん。なにか言いかけてたよね。なに?」


 帝王様はそれから口をきいてくれなくなった。


 帝王のご機嫌取りをしている最中、視界の片隅にいるぼったくり男は、ディーラーになにやら怒っているのが見て取れた。


「あのディーラーさん、ぼったくり男とつるんでいたんだね。ハル兄は知ってたの?」

 ようやくこの質問でハル兄は態度を戻してくれた。


「今頃気づいたのか。当たり目を連続で出して、こっちを乗せてうま~く操縦しながら巻上げる気だったらしいがな。こっちが黒黒言ってりゃ、自ずと黒でこっちが勝負すると思うだろう」


 なんと!!

 帝王はただの黒好きではなかったらしい。
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