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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 


 ポーカーとは、配られた5枚のトランプの組み合わせで勝敗を競う。

 一度だけカード交換(最高5枚まで)が出来、誰かがドロップ(降参)するまで、コール(前の人と同じ分の賭けチップを支払う)か、レイズ(前の人以上の賭けチップを支払う)でゲームは進められる。

 相手の見えない手札を推理するのは、コールとレイズ具合と、相手の表情だ。そこから相手の手札がどれほどの強さなのかを見抜くことが出来ねば、自滅する。

 逆に言えば、自分がどんなに悪い札であろうと、はったりを続けて相手をドロップさせれば勝てる。


 挑戦者は、ハル兄、アダルトナツ、ぼったくりの三人。

 本来勝負しなくてもいいぼったくりは、元ヤンの威嚇に負け、100万相応分チップに変えてきたが、ハル兄推定1800万分、アダルトナツ2000万分に、ぼったくりは彼らのチップの山のひとかけら。

 それに失笑が起きたのが悔しいらしく、カジノオーナーの息子の威信にかけてか、3000万の借金をしてチップの山をひけらかした。

 勝負は1回らしい。

 レイズやコールで賭けチップは減り、チップが賭けられなくなった時点で、ドロップは確定になる。役云々考えなければ、有利は所持チップが多いぼったくりだ。

 そしてドロップしていないふたりのうち、カードの役が高い方が勝者となる。


 ハル兄が勝てば、あたしの貞操は無事。さらにはアダルトナツからの2000万とふたりの賭け分が貰え、これが理想型。

 アダルトナツが勝てば、あたしは彼に献上され、ぼったくりに3000万支払う義務が生じ、さらに賭けた分は彼にとられる。

 ぼったくりが勝てば、あたしはぼったくりに献上されるが、3000万支払う義務は生じない。だが、賭けた分は彼にとられる。


 こう考えれば、飛び入り参加のアダルトナツの存在が、一番厄介だ。


 ハル兄はタバコを吸いながら、例の顰め顔で、ポーカー台のディーラーが配ったカードを眺めている。

 スカーフをとった首元は、お艶気がむんむん状態で、そこだけに目を釘付けにしてらっしゃるご婦人もいる。

 こういうギャンブル風情がお似合いのハル兄。

 彼の心と裏返しのカードの内はいかなるものか。


 あたしを含めた観客は、不正防止にカードが見れない真っ正面に立たされ、彼らがどんな札を持っているのかわからない。

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