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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2

「淫魔か……」


 ハル兄があたしを強く胸に押しつけて低く呟く。


「時期的に……ああ、お前が腹空かしてたのも、それか……?」


 淫魔だろうがなかろうが、そんなのどうでもいい。

 欲しいんだ。


 佐伯波瑠という帝王が。



「ハル兄……」


 あたしが背中に手を回して体を擦りつけると、ハル兄は悔しそうに言った。


「今の俺は……なだめられねぇんだよ、お前を……」


 そして股間をあたしの秘部に押しつけてくる。


「我武者羅に抱きたくても、貫きたくても……。今の俺では……シズ」


 それは泣いているようなか細い声調。


「どんなに心でお前を求めても、淫魔が喜ぶ部分まで満足させられねぇ。行き着かねぇ……。その前に……俺はきっと」


 あたしの尻に手を回し、ぐいとさらにに密着させて腰を回してくるが、あたしの中の"あたし"が喜ぶまでの劇的な変化はなく。


「ハル兄……。体が熱いよぅ……」


 駄目だと言われれば欲してくる。

 
「シズ……。ああ……俺……」


 煩悶に苦しむ声に、ますますハル兄を堪能したい欲求に駆られる。


 剛直なハル兄のもので、奥まで貫かれたい。

 愛されたい。


 欲望がとまらない。



「今すぐにでも、お前のナカ、お前の奥……突きてぇのに! ずっと……あの快感を忘れられねぇほど、お前抱きたくて仕方が無かったのによっ! なんでこんな時に、EDなんぞ……」



 そんな時だった。

 ぐいとあたしの腕が後方に引っ張られたかと思うと、


「――んっ!?」


 唇を奪われたのは。
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